2007年11月30日

TIP-OFF (34)

TIP-OFF : Filip Bondy(著) Published by Da Capo Press
第10章:Liking Mike - 5


あらためて、これは異なる時代の話だ。少なくとも、ドラフトしたい相手が自分のチームで喜んでプレーしてくれるかどうか、各チームのGMが心配せざるを得なくなったシニカルな時代とは、10年ほど隔たっている。何年か後、高校からプロ入りしたコービー・ブライアントは、ニュージャージー・ネッツに対して、自分をドラフトしない方が良いと警告するだろう。イースト・ラザフォードでプレーするくらいなら、シーズンを全休するかヨーロッパへ行くと。現在のドラフト候補生たちは、チーム関係者のオーディションを受けるために国中を移動し、滞在先で積極的だったり消極的だったりする雰囲気を漂わせて、自分が特定のフランチャイズのために一所懸命プレーする気があるかどうか、巨大なメッセージを送っている。ジョーダンは違った。彼はシカゴを訪問しておらず、ソーンの方もブルズをどう思うか尋ねたことさえない。おそらくジョーダンは、シカゴに十分満足だろう。そこは、大きくて未開発なバスケットボール・マーケットで、東のボストンや西のロサンゼルスという確立された王朝の新鮮な代替都市だ。また、ブルズには金がある。彼らのオーナーには、シカゴ・スタジアムとブラックホークスを所有するウィリアム・ワーツから、ジョージ・スタインブレナーというマイノリティ・パートナーまでが名を連ねていた。ジョーダン本人も、エージェントのデイビッド・フォークやスポンサーのナイキを含む増え続ける側近たちも、ポートランドやダラスよりシカゴを好んだ。ここに、スーパースターを欠く巨大都市がある。忠実な市民たちは、他にスポーツ・ヒーローがいなかったため、まだ、とうの昔にカブスを引退したアーニー・バンクスを崇拝し続けていた。

ソーンにとって、ジョーダンがブルズのものになるかどうか、ただ待つだけの問題だった。ユーイングがジョージタウン大学残留を決めたとき、ソーンはジョーダンの獲得に不安を抱いた。ポートランドは2位指名権を持っている。ブレイザーズはブーイを選ぶかもしれない。ジョーダンを選ぶこともあり得る。トレードをすることもできる。

NBA周辺では、他のスポーツでは考えられないほど常に噂が飛び交っており、ブレイザーズの人事担当重役スチュー・インマンがブーイに傾いているという情報もすぐ伝わってきた。ポートランドにはすでに、クライド・ドレクスラーやジム・パクソンという優れたバックコートの選手が所属している。インマンは、ビル・ウォルトンを故障で失ってから不在の多才なビッグマンをミドルに置くことで、自分の最高傑作を描き上げようとしている。だが、インマンはブーイの足を信じているのか? ソーンは関係者に確かめたかった。ドラフトまで約1ヶ月を残す頃、彼は、真っ正直な人間であるインマンに、ブレイザーズがブーイを選ぶのかどうか尋ねた。インマンが嘘をつく理由はまったくなかった。自分が選択を変える、あるいはジョーダンを譲ると約束することで、ブルズから何らかの材料を引き出そうと考えない限り。インマンはそういう駆け引きが嫌いだった。彼は率直に、もしブーイが身体検査に合格すればドラフトで指名する、とソーンに教えた。

数週間が過ぎても、西海岸からは何の報道もなかった。便りのないのは良い知らせ、とソーンは考えた。次にインマンに会ったとき、ソーンは、ブーイが身体検査に合格したかどうか尋ねた。自分たちがブーイをドラフトするとは断言しないまま、インマンは「イエス」と答えた。ソーンはインマンの性格を良く知っており、自分を欺くつもりがないことを確信した。つまり、ジョーダンはほとんど確実に手に入りそうだ。そして、いよいよ周囲の人々を納得させる仕事に取り組む時間だった。

ブルズのGMは、ヘッドコーチのロカリーや、アシスタントコーチのビル・ブレアとフレッド・カーター、そしてCOOのジョナサン・コブラーに自分の決断を伝えるため、会議室でのミーティングを召集した。ロカリーはソーンの選択を気に入った。彼もソーンと同じように、ドクターJの幻想を頭に思い浮かべていた。ソーンは何度か、自分自身の矛盾を合理的に説明しなければならなかったが、やがて全員が彼の選択に同意した。あなたは常に、勝つためにはビッグマンが必要だと言ってこなかったか?と、コブラーは質問した。シューティングガードならデイリーがいるではないか?とも聞いた。「彼らはたぶん、『サイズが勝利をもたらしてくれる』という私のセリフを100回くらい耳にしていたはずだ」と、ソーンは回想する。「だから、『今度はいきなり、この男が欲しいって?ブーイがもたないと思うなら、パーキンスは?ディナー・ベルは?』と思ったはずだ」

ジョーダンは即座にブルズの助けになる非常に優れた選手かもしれない、とソーンは説明した。パーキンスや他の選手の指名にはためらいを感じる、とも付け加えた。実際のところ、それは釈迦に説法だった。その部屋にいた全員が、大型選手よりジョーダンのような電撃的なプレイヤーを求めていた。経験則からいって、ビッグマンがNBAで自分のペースを見つけるまで3年ほどかかる。部屋にいるメンバーのほとんどは、ブルズがすぐに改善されなければ、自分はそれほど長くここにいられないだろうと考えた。ミーティングは、ジョーダンをドラフトするという結論と共に解散された。これからドラフトまでの数週間のうちに、とんでもないチャンスが訪れない限り。



posted by まき at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | TIP-OFF | 更新情報をチェックする
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