TIP-OFF : Filip Bondy(著) Published by Da Capo Press
第15章:Not Twins at All - 4
しかし、その春のプレイオフでロケッツが早々に姿を消したのは、サンプソンやウィギンスのせいではなかった。むしろ、オラジュワンの未熟な気性と強烈なプライドが、ユタ・ジャズを相手にしたファーストラウンドのロケッツを運命づけた。ベスト・オブ・ファイブのシリーズは双方2勝2敗のタイにもつれ、最終戦はヒューストンで行われた。決戦の前半終盤、ユタのマーク・イートンが膝を伸ばし、ベンチへ下がるしかなくなったとき、ロケッツの勝利は決まったかに見えた。ロケッツの若い仔馬、オラジュワンとサンプソンは、イートンが抜けて小さくなったジャズと、大ベテランのビリー・ポールツを相手にすることになった。ABAのニューヨーク・ネッツ時代から数えてプロ歴15年になるポールツは、『The Wopper (ワッパー=殴る人)』というニックネームを持ち、スポーツ界の『ジャーニーマン』という言葉を定義したと言ってもいいくらいだ。36歳の今、2つのリーグと5つのチームを渡り歩き、6フィート11インチの身長と真の勇気と相手をイラつかせるテクニック以外は、何一つ天賦の才能に恵まれていなかった。
思ったとおり、第3クォーターのオラジュワンはポールツを相手にせず、このクォーターだけで14得点して、ロケッツを76対67のリードへ導く。しかし、ポールツは狡猾で、少し汚い手を使った。オラジュワンを突き、押し、叩き続ける。オラジュワンは逆上した。「あいつが俺を殴ったんだ。レフェリーの注意を引こうとしたができなかったから、こっちも殴り返しただけだ」と、オラジュワンは言った。「それがジャズをやる気にさせたかどうかは分からない。だけど、俺は4度もあいつに胃を殴られたんだ」
実際、オラジュワンの報復的なパンチは完全にジャズをやる気にさせ、一方でオラジュワン本人は自分のコンパスを失った。ユタは最終クォーターだけで37得点を記録し、ポールツは6得点5リバウンドで試合を終えた。ユタのサール・ベイリーもサンプソンを上回り、ジャズは104対97の勝利を収める。「今日、オールド・ワッパーは自分のサラリーを稼いだね」と、ジャズのフランク・レイデン コーチは言った。これはポールツがプロ生活に別れを告げる春だった。試合後、老いた“疫病神”は、「あいつがパンチをこらえられず、俺がパンチを受け止められること、それはまさに、気持ちと強さで何ができるかということを示している」と、オラジュワンをたしなめた。
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